震災から15年、記憶を紡ぐ建設と故郷の未来へ
~福島県建築文化賞「復興賞」を受賞して~
新時代の校友企業 東北工業建設株式会社
双葉郡浪江町で総合建設業を営まれる東北工業建設株式会社代表取締役戸川聡さんは施工者として第41回福島県建築文化賞において「復興賞」を受賞されました。おめでとうございます。東日本大震災での甚大な被害にも関わらず、地元企業として尽力されている戸川さんに受賞の感想と震災後を振り返り、御寄稿をいただきました。ありがとうございます。戸川さんには工学部建築学科で学んでいる期待の息子さんがいらっしゃいます。土木の父と建築の子、二世代の校友のご活躍を祈念いたします。
日本大学工学部校友の皆様、こんにちは。土木工学科第45回卒、東北工業建設株式会社代表取締役の戸川聡と申します。この度、第41回福島県建築文化賞において「復興賞」を受賞し、本コーナーへの寄稿の機会を頂戴しましたこと、大変光栄に存じます。
今回受賞いたしました「haccoba 浪江醸造所」は、東日本大震災時の木造仮設住宅を移築・再利用し、浪江町に新たな「クラフトサケ」の醸造所として再生させた建築物です。避難生活の記憶が刻まれた外壁材などを活かしつつ、地域に新しい産業と人が集う場所を創出しました。弊社といたしましては、令和元年の第36回福島県建築文化賞にて「ふたば富岡社屋」で優秀賞を受賞して以来、2回目の栄誉となります。また浪江町の建築物としては初の受賞であり、地元企業としてこの上ない喜びを感じております。
思えば、震災からの15年間は決して平坦な道のりではありませんでした。原発事故により浪江町からの避難を余儀なくされ、土木・建築という「まちをつくる」生業にありながら、故郷が失われていく喪失感に直面しました。しかし、震災当時創業65年を超える企業の代表として、「必ずこの地を建設の力で復興させる」という信念を捨てることはありませんでした。インフラの復旧から始まり、新しい建物が建ち上がる過程に携わる中で、建設業が持つ「復興の力」を信じ、これまで社員と共に前を向いて歩んでまいりました。
私の仕事へのポリシーは、「建設の力を通じての美しいまちづくり」を実現し地域社会に貢献することです。これからの福島には、単なる復旧を超えた「新しい価値の創造」が求められています。今回の醸造所のように、過去の記憶を継承しながら未来へと繋ぐ場を丁寧に手掛けていくのが、私の今後の抱負です。
実は現在、私の長男が母校である日大工学部の「建築学科」で学んでおります。私が土木工学科で街の基盤づくりを学び、息子が建築学科でその上の空間づくりを学んでいることに、深い縁と頼もしさを感じています。次代を担う若者たちに誇れる背中を見せ続けなければと、改めて身の引き締まる思いです。
在学生の皆さん、そして校友の皆様。建設業は人々の想いを未来へ残す素晴らしい仕事です。母校での学びを誇りに、共に新しい時代を築いていきましょう。最後になりますが、母校の益々のご発展と皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。
■ホームページ:東北工業建設株式会社
【写真:haccoba (ハッコウバ)浪江醸造所完成写真/ハッコウバ施工中写真1/ハッコウバ施工中写真2/浪江町産学官連携施設施工予定パース】





