支部・部会リポート:関東支部リポート
美術に賭けたセカンドライフ
~64歳からの再出発~
64歳で武蔵野美術大学の造形学部通信課程2年生に編入され、現在も絵画制作に励んでおられる多胡稔さんは、本年開催された第46回群馬県美術展で佳作賞を受賞されました。おめでとうございます。多胡さんのこれまでを振り返りご寄稿いただきました。ありがとうございます。
~私は群馬県で建設会社を経営する家に、3人兄弟の長男として生まれ、家族や周囲は、当然のように会社は長男が継いでいくものと思い、私本人も仕方ないなと深く考えることはありませんでした。工学部土木工学科を卒業して、東京へ就職2年目、社長修行をしていましたが、当時父の会社は大きな負債を抱えて倒産することになってしまいました。
私は群馬に戻り、父の会社のあった町から離れた地域に親・家族と生活、地元の建設会社に就職し、64歳で退職を迎えました。子供二人は千葉県で教師を勤めており故郷に帰って来る様子はないようです。 退職の数年前に、お世話になった中学時代の美術の先生に、孫の似顔絵を描いて年賀状をお送りしました。私は子供の頃から絵を描くのが好きで、当時その先生も「好きな方向に進むことができればいいのにね」と言ってくれてはいたのです。年賀状の返信をいただき、「60歳を過ぎて退職するなら、昔から好きだった絵を描いてもいいんじゃないかな」との一文が書いてありました。
先生の言葉に刺激され、「退職したら絵を描くぞ」と基礎から学べる学校を探し、授業料なども調べ、おおよその必要予算を計算し蓄えて、家内の許可ももらいました。子供達も賛成してくれて武蔵野美術大学の造形学部通信課程2年生に編入することができました。64歳で日大工学部から成績証明書と卒業証明書をいただくというあまり例を見ない編入課程でした。
スクーリングや課題提出においては、好きなことばかりなので全く苦にならず、同級生は10代から稀に60代まで、工学部土木工学科とは異なり、9割が女性という編成です。ここ数年のコロナ渦で、留年を考慮に入れた卒業を目指していますが、工学部時代より成績は数段良好で、学業をしながら、同級生達が指導してくれるTwitter・インスタグラム・絵画販売及び合同展や公募展などへ出品し、販売実績や受賞を重ね初めています。
これから先、どのような結末を迎えるか想像もできませんが、若い同級生達と刺激し合いながら第二の人生を謳歌していきたいと思います。2024年3月の卒業を目指していて、式当日は学生服を借りて、記念に持っている当時の日大の櫻のバッジ・体育会のバッジをしていこうかなと考えています。
武蔵野美術大学の卒業式は特殊なことで有名であり、様々な服装・ほぼ裸体のような卒業生も参加するファッションショーに近い芸術的な式典となっています。作品について最近での受賞は2022年12月に群馬県美術展で佳作賞をいただきました。良かったら下記を覗いてみてください。~
■ツイッター mitanogoru(@mitanogoru)さん / ■インスタグラム 多胡稔(@mitanogoru) / ■絵画販売 minorutago
【写真:第46回群馬県美術展ポスター/入賞通知/作品1/作品2/作品3/体育会会員証】