「超音波センサの開発から製造、販売までを体験した3年間」
~学生と企業担当者へのインタビュー~
左から高田さん(総務担当)、栃本さん、齊藤室長、神谷社長
超音波センサを中心とした産業用センサの開発・販売をしているオーミック電子株式会社(郡山本社)の神谷康廣社長は、地元福島県の大学生にアルバイト雇用という形で職場体験の場を提供しています。
アルバイト開始時、工学部情報工学科4年(情報サービスシステム研究室:大山勝徳准教授:情報5回卒)だった栃本涼さんと磯貝聖輝さんの二人はその間に大学院工学研究科 情報工学専攻に進学し今春卒業・就職しました。今回、栃本さんに3年間のアルバイトを振り返り御寄稿いただきました。ご卒業・就職おめでとうございます。また、二人の指導を担当された齊藤鷹之室長にも寄稿いただきました。ありがとうございました。
■オーミック電子株式会社
~モノづくりの現場で見えたこと~
私は大学入学当初から、ものづくりに関わる仕事がしたいと考えていました。中でも、ソフトウェアだけでなくハードウェアも扱えるエンジニアを目指していた私にとって、オーミック電子での実践の場はまさに理想的な環境でした。3年間アルバイトとしてお世話になり、設計から開発まで経験する中で多くの学びがありました。オーミック電子での時間は人生の中でも学びの多い時間だったと感じています。同時に、それがあっという間に感じられるほど、充実した3年間でもありました。
ものづくりにおいて、最初から完璧なものができることはほとんどありません。設計通りに動くはずの回路が予期せぬ動作をしたり、プログラムを組んでも思った通りの結果が得られなかったり。そうしたときに必要なのが、試行錯誤の積み重ねでした。データシートを読み込み、原因を考え、試して、また失敗する。この繰り返しの中で、問題を解決する力が身についたと感じます。納期が迫る中での作業は大変なこともありましたが、今振り返るとすべて良い思い出となっています。
また、自分が設計・開発に関わった製品が実際に社会に出る喜びは、何物にも代えがたいものでした。最初は組み立てや小さな改良や仕事が中心でしたが、次第に設計の段階から携わる機会が増え、最終的には製品として世の中に送り出すところまで関われるようになりました。自分の手で形にしたものが実際に使われるというのは、想像以上に達成感があります。同時に、ちょっとした設計ミスが大きな問題につながることもあるため、責任の重さも実感しました。
3年の経験を通じて、私の“ソフトウェアからハードウェアまでできるエンジニアになりたい”という目標に間違いなく一歩、いや、数歩近づけたと感じています。4月からはいよいよ社会人として新たなスタートを切ります。これまでの経験を糧に、新しい環境でさらにスキルを高めて技術者として成長していきたいと考えています。
最後に、オーミック電子の皆さまへ。3年間という長い間、本当にお世話になりました。開発のノウハウを惜しみなく教えてくださった齊藤さん、日々支えてくださりたくさんのアドバイスをくださった高田さん、そして多くの貴重な経験と学びの場を与えてくださった神谷社長。皆さんのおかげで、私は大きく成長することができました。ここで得た学びを胸に、新たな環境でもものづくりに真摯に向き合っていきたいと思います。本当にありがとうございました!
~若いエネルギーで社内の雰囲気が活性化~
日大工学部の栃本さん、磯貝さんには3年間継続して働いて頂き会社の製造現場を大きく支えて頂きました。入社頂いた時期がちょうど複数の新製品が立ち上がる時期で、製造の人手が足りずどうしょうかと思っていたところ会社創業時よりお世話になっている日大工学部校友会の千代様のご紹介で二人に働いて頂くことになりました。
当初は半田付けの基礎の基礎から教えながらの作業でしたが数か月も経つとすぐに習熟されてどんどんと作業スピードが速くなり、さすがに吸収が速いなと思わされました。組み立て後、正常に動作しない製品が出てきたときに原因を調べる作業も多かったと思います。「動いたぁ!!」という達成感や安堵感のこもった声を毎回聞けるのが私としてはなにより嬉しかったです。半田付けが甘く接続不良となると本当に製品が動かなくなるということを、身をもって体験しながら丁寧に確実に仕事をすることの重要性を体で理解して頂けたと思います。製造方法について自分たちでやりやすいように時に議論をしながら組み立ての順序を変えたり専用の道具を作ったり工夫しながら作業していた姿が印象に残っています。
製造の作業が落ち着いているときは新製品や試作品の設計(筐体設計、回路基板設計)にも多く携わって頂きました。はじめは簡単なケースや基板の設計から始まり、最後の方は複数の部品が入った複雑な形状の筐体や基板の設計を任せられるくらいに成長していたことにこちらも驚きました。部品配置や組み立て性を考えながらなるべく小さく設計する難しさと楽しさを感じて頂けたと思います。栃本さんに筐体設計を担当してもらった無線式警報機、磯貝さんに回路基板設計を担当してもらった無線式振動機は売れ筋の製品として継続して生産しています。
二人に来て頂いたことで単に製造の戦力になって頂いただけではなく若いエネルギーによって社内の雰囲気が活性化したと思います。技術的なところでは最新の3Dプリンタの情報を教えて頂きより速く効率的に生産する提案などをして頂きました。実際に最新の3Dプリンタを導入し生産体制がより速く効率的になり大変ありがたかったです。また生成AIを用いた設計ソフトの活用方法なども教えて頂き、やはり最新の技術に関しては若い方の方が詳しいと感じることが多く、今後も何らかの形で若い方を採用していかなければと考えています。この3年間大変なことも多かったと思いますが、継続して働いてくれたこと、本当に感謝しています。今後のお二人がどのように成長していくか大変楽しみにしています。少しでも弊社での経験が今後の社会人生活の支えにならば大変嬉しく思います。
【写真:現場での作業1/現場での作業1/会社のみなさんと】