支部・部会リポート:関東支部リポート
天井や壁で変わる音(ことば)の届き方
~伝えるための「聴き取りやすさ」とは?~
学術研究報告会での報告
第68回日本大学工学部学術研究報告会が12月6日に開催され多くの報告がなされました。
教育の部会では、DAIKEN株式会社 建装事業戦略部 部長の髙桑健一さんが民間企業の立場から空間での「ことば」の聴き取りやすさに関しての研究と取り組みを報告されました。興味深い髙桑さんのお仕事についてわかりやすい文章でご寄稿いただきました。ありがとうございます。
~教育場面やオフィスの会議室、飲食店等で相手の「ことば」が聴き取れないことから、円滑なコミュニケーションができず、音環境について「こんなもの」と感じて諦めている場面はないでしょうか?快適な音環境づくりのために、実証実験を通じて新規事業の創出を行っている私の仕事の一部をご紹介します。
■快適ソリューション
建設資材の総合企業である弊社は、快適な価値ある空間へ導く「快適ソリューション」の構築を進め、提供価値を「モノ」から「コト」に変革する姿勢を示しています。なかでも、40年以上にわたる建築音響事業の取り組みを活かして、様々な場面で「ことば」が明確に相手に届く環境を提供すべく、他社と共創しながら、実証実験を繰り返して快適な音環境の提供を検討しております。

DAIKEN TryAngleフェア メディア向け説明の様子
■企業間共創
当社はこれまでの住宅分野の事業に加えて、非住宅分野にも力を入れていく方針を打ち出しており、2021年から、非住宅分野の開発力を高める目的で、複数の企業が共創を目的に集っているpoint0に参画。私も、同年10月からpoint0取締役(2023年6月退任)として、DAIKENとの兼務で企画開発業務を行い、数々の企画を、スピード感を持って手掛けることができました。

point0での説明風景
■快適性の重要な要素である 「音」に着目
学校やオフィス空間における音(ことば)の届き方は、室内の天井、壁、床の性質に影響されて、音の響きによる人への伝わり方が感覚的にも異なってくることが知られております。
特に音の響きをコントロールする“吸音”に関する実証実験によって、音を止める“遮音”だけでなく、音の響きや周囲の音の大きさをコントロールすることで、音環境を改善できることが示され、改善レベルや対応できる費用感、目的に合わせた提案の幅が広がりました。
《実証実験の事例》
・上部が空いている個室ブースにおいて、話している内容が分かってしまうレベルの音漏れに対する、工事不要の簡便な対策
・WEBによる授業や会議を想定して、音の響きをコントロールする事で、明瞭に聴き取れる空間を提供
1社では知見が浅くとも、複数の企業が共創していくことで、快適な空間を構築していく事を音環境から始めております。また、共創する企業の中には、日大出身の方々に出会う事も多く、大学のネットワークも大変ありがたいです。こうした輪が広がっている実感があり、やりがいを感じております。
12月の学術報告会がきっかけとなり、先日、建築計画第一研究室の先輩で、工学部建築学科 非常勤講師の竹ケ原雄さん(建築45回)、文科省の油井敏和さん(建築45回)がpoint0丸の内を視察され、音や調湿等の室内環境に関する意見交換をさせて頂きました。

point0丸の内にて 左から、竹ケ原さん、私、油井さん
■音環境の可視化、可聴化
「ことば」を有効に届ける手法を検証しておりますが、実際には音は目に見えないことや、空間の使われ方によってもコントロールしたい内容が変わってくることから、施工後に音に関して問題となるケースが多いです。
そこで、計画や設計段階から音を可視化、可聴化するシミュレーションを行うことで、完成後のイメージに近い「ことば」の届き方を事業主や利用する人に体感してもらうといった、機能を「見える化」する事にも取り組んでいます。

音マップPro シミュレーション事例
■音環境の次へ
さらに、社会課題解決に向けて、企業の垣根を超えた共創活動にも取り組んでおり、Well-Being な環境を音環境からサポートしております。快適ソリューションの実証実験の場としても活用している当社R&Dセンターにおいて、2024年4月に「WELL Performance Rating」を 国内で初取得。加えて、2025年11月に音響実験施設「音環境ラボラトリ」が竣工。音環境を皮切りに、「コト」提案による快適な空間を提供していきます。

Well-Beingなオフィス空間展示・共創事例
■ホームページ:DAIKEN株式会社





